水張りの方法をご紹介します。
「だいこんにんじんごぼう」 ホワイトワトソン、アクリル絵具、364 × 257mm
二年前の春、ほぼはじめてアクリル絵具で描いた絵です。じょじょにしおれていく野菜をみながら、必死にスケッチして着彩したことを思い出します、、、。が、さすがにこれはひどいですね。量感がありません。この絵の特にひどいところは、左上と左下にしわがよっていることです。そう、水張りに失敗して紙にしわがよってしまったんですね。こんなのを先生に見られたら大目玉です。ということで、水張りの方法をご説明します。
1.水張りの準備をする
木製パネル、紙、水、はけ、水張りテープ、タッカーを準備します。紙は、水彩紙のような、水に濡れてもやぶれない丈夫なものがよいでしょう。この紙は厚めのワトソンです。
2.紙を切る
木製パネルの大きさより、上下左右1〜1.5cmぐらいずつ大きく、紙をカットします。今回はB4パネル4枚を水張りするため、四つ切りの紙を四等分しました。
3.紙を濡らす
はけで、紙の裏表をまんべんなく濡らし、木製パネルの上に重ねて、5-10分ほどなじませます。(紙の裏のみを濡らす方法もあるそうです。その場合、木製パネルの上に重ねたあとに、まん中から四方八方に手でおさえて間の空気を抜いて密着させます)紙を汚さないように、手を洗ってきれいな場所で作業しましょう。
4.タッカーでとめる
紙の表面が水で光らない程度に乾いたら、タッカーで木製パネルにとめます。乾きすぎると紙がのびません。紙全体がしっとりして柔らかい状態でタッカーを使うのがこつです。上下左右の空きが均等になるように、慎重に位置合わせをします。長い辺のまん中を、上下それぞれ一カ所ずつ、タッカーでとめます。紙にしわがよらないようにのばしながら、少しひっぱってとめましょう。力を入れすぎると破れるので気をつけてください。
次に、短い辺のまん中を一カ所ずつタッカーでとめます。
紙が浮いているところは、タッカーでとめて安定させます。今回は、長い辺は3カ所タッカーでとめます。1箇所タッカーでとめたら、必ず、対面の辺の同じ箇所をとめるようにしましょう。
角を折り込んで、タッカーでとめます。角がしわになりやすいので要注意!ただ、濡れているうちにしわがあっても、乾くとだいたいしわはのびます。
5.水張りテープを貼る
パネルの縦横より少し長めに、縦2本、横2本の水張りテープを切ります。はけで、水張りテープの裏を水で濡らします。刷毛を濡らして、上の写真のように、水張りテープの裏の端にあてます。
裏から見るとこんな感じに、右手の人さし指と中指に水張りテープをはさみ、右手の親指と人さし指で刷毛を持ちます。左手で水張りテープの端をもって、刷毛の穂先を水張りテープにあてます。
左手でテープをするするっとひっぱると、きれいに濡らすことができます。
パネルを机の端におき、手前から水張りテープを貼ります。左右の余った部分は、隣の辺に折り込んではります。
水張りテープの幅が余った分は、パネルの裏に折り込みます。絵を正面から見た時に水張りテープが見えないように、少しだけ隙間をあけてはるとよいかもしれません。これはしわがよってしまいましたが、パネルごと展示するなら、しわがないように貼った方がよいようです。
上下左右の水張りテープを全部貼って、裏からみたところです。展示のときに裏は見えませんが、裏まできれいに張れるといいですよね、、、。まだまだです。
正面からみたところです。このまま一晩乾かすと、紙がぴんとはってしわがなくなります。
最初は失敗つづきでしたが、2年半で水張りの成功率があがりました。木製パネルは軽くて運びやすく描きやすいし、水彩やアクリル絵具で絵を描くときに、紙が水で変形してうねうねするのが防げます。大きなサイズの絵を描くときも、水張りが役に立つなと思っています。