製本用に紙を手染めしてみました。手順も簡単に紹介しますね。
「ケルト 01」 NTラシャ、正麩煮糊/水彩絵具、364 x 257mm
クライスターパピア(Kleisterpapier)は、でんぷん糊に水彩絵具を混ぜて紙に模様を描く手法だそうです。本の見返しや表紙に使えるようです。「美篶堂とつくる美しい手製本」(美篶堂編)という本を参考にさせていただき、今週末チャレンジしてみました。さらに、Roger Greenさんのサイトで升目模様をみかけたのですが、ドイツ語だったので作り方がよくわからず??試しにはんこを使って作ってみました。ケルト模様を参考に縄目のはんこを作り、水彩絵具を溶かしたでんぷん糊をつけて、黒い紙にぺたぺた押しました。紙の地色を変えて3枚作ってみましたが、黒が一番いいようです。縄目がはっきり見えないのが残念です。消しゴムはんこの方が、形がくっきり出るかもしれませんね。
「足跡」 江戸小染、正麩煮糊/水彩絵具、364 x 257mm
ワインのコルク栓と、手作りのはんこでつくりました。この紙はきれいな透かし模様が入っていて、糊の色との対比がきれいです。
「運動 01」 NTラシャ、正麩煮糊/水彩絵具、364 x 257mm
目の広い櫛状の板で模様をつけました。手が滑らかに動きません!
「草原の思い出」 NTラシャ、正麩煮糊/水彩絵具、364 x 257mm
黄緑色の紙に青い糊を塗って、フォークで模様をつけました。地色の彩度が高いと、画面が華やかになりますね。
「温かい/暖かい」 江戸小染、正麩煮糊/水彩絵具、364 x 257mm
いろいろな櫛で模様をつけました。紙のせいか、細かく縮みが入ったような風合いになりました。
「どこにいくの」 NTラシャ、正麩煮糊/水彩絵具、364 x 257mm
指やフォークで模様をつけました。いいのかつまらないのか、自分ではさっぱりわかりません。いつもよりは自由に描けた気がします。
「退散」 NTラシャ、正麩煮糊/水彩絵具、364 x 257mm
YouTubeに公開されたMartin Plumperさんの動画を真似して、紙をくしゃっと丸めたものでくりっと跡をつけてみました。フォークも使いました。これが一枚目だったのですが、意外にきれいな色が出ていますね。
○クライスターパピアの手順
材料は紙と糊と水彩絵具、道具は、糊を入れる入れ物と濡らしたふきん、ペーパーパレット、櫛やフォークやコルクや手作りのはんこ、この写真には写ってませんが水と大きな平筆か刷毛が必要です。
糊は、本当は姫のり(お米で作ったのり)を使うらしいのですが、私は表具用の正麩煮糊を買いました。かきまぜながら、水で倍程度に薄めて、写真ぐらいゆるくなるまでのばします。
糊に水彩絵具を混ぜてよくかき混ぜます。私は、美篶堂さんの本にあったように赤青黄の3色を用意しました。結構たくさん絵具を入れないと濃い色にならないので、最初は糊を少なめにして、絵具を足しながら濃さをみた方がよいと思います。
紙パレットで、絵具の入った糊を混ぜ、必要に応じて白もしくは黒の絵具を足します。紙にはけや平筆で絵具入りの糊を塗って櫛などで模様を描いたり、はんこに糊をつけて紙におして模様をつけます。模様を描く紙は、のびにくいものがよいそうです。まわりにはみ出した糊を拭きやすいように、ラップを敷いて作業しました。作業後は濡れているうちに、ラップを敷いた別のボール紙に紙を移動し、作業場所の糊を濡れふきんで拭き取ります。紙が乾いたら、水彩用の定着スプレーをかけます。紙の全面に糊をつけると、乾いたときにくるっとまるまってしまうので、固定して乾かした方がいいのかもしれません。
一枚の描画にはそれほど時間はかかりません。ただ、美しい模様を描くのは難しそうです。昨日の夜からはじめて、全部で16枚作ったのですが、かわいてみないと成功だか失敗だかよくわかりません。また、製本で使えるかどうかは、サイズや他の布などとの組み合わせにもよりますよね。いろいろ試して、よい模様を探したいです。今月、製本の授業があるので、授業までに何枚か作ろうと思っています。