ふくろう絵本屋

福井美佳です。私の活動を紹介します。

製本手順(糸かがり綴じ)

手製本で本文を綴じる方法「糸かがり綴じ」の手順を紹介します。文字通り、針に糸を通して、紙の束を縫い合わせるように綴じていきます。両面印刷が前提です。仕上がりは、写真のように、開いたページのまん中に綴じ糸が見えます。

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1.本文を印刷して、折丁を作ります

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本文24ページをinDesignなどでレイアウトして、見開きの紙に印刷します。今回は、この1年間で作った絵を30枚ほど載せた、作品集を作ることにします。1ページのサイズをA5として、見開きA4の用紙6枚に両面印刷します。写真のように、2枚(8ページ)ずつ二つ折りにして、3束に分けて綴じることにします。inDesignの場合のプリント設定は以下です。

(1) ファイル>ブックレットをプリント

(2) ブックレットの種類:見開き - 無線綴じ

(3) 折り本サイズ:8

紙は、丈夫で発色もきれいなOKマシュマロを使いました。カッターでA4の大きさに切って、学校のレーザープリンタで印刷しました。へらを使って慎重に二つ折りにしました。この、二つ折りにしたひとたばの紙のことを、折丁というそうです。

2.糸綴じ用の綴じ穴をあけます

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二つ折りした背の部分に、カッターで1.5mm程度の切れ目をつけます。この作業を、綴じ穴の目引きというそうです。切れ目を入れるのは、写真のピンク色の線で示した6カ所、すなわち、右(ページの上端)から10mmのところと、左(ページの下端)から13mmのところ、間の空間を三等分した2点の上下7mmずつ離れたところ4カ所です。大きな紙の場合は、間の空間を四等分して2点追加するなど、必要に応じて穴を増やしていくようです。一度で2枚とも穴があくように切れ目をいれてください。3束とも切れ目を6カ所ずついれます。

3.色見返しを貼ります

色見返し2枚を、それぞれ中表に折って、本文の最初と最後のページにはりつけます。色見返しの全面に糊をつけて貼るのではなく、折り目側に、のりしろ7-8mm程度の幅で細い帯状に糊をつけて貼ります。学校では、製本用の糊として先生が調合してくださった、でんぷん糊と木工用ボンドを半々にあわせたものを利用しています。折丁をそろえてプレスしておきます。

4.糸に蠟引きします

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30号の糸を、ページの高さx(折丁の数3+2)程度の長さで切って、蠟を2回ほどこすりつけます。

5.糸で綴じます

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台とクラフト針と綿テープを2本用意します。蠟引きした糸を、クラフト針に通します。針から糸が抜けないように、糸をたわませて針を通して固定します。

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台の裏側の手前に、綴じ穴の位置にあわせて、綿テープ2本をマスキングテープなどで固定します。

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台をおもて側に返して、1束目の折丁を、8ページ目が上にくるように台の上におきます。綴じ穴の位置と、綿テープの位置をあわせます。手前から右の綴じ穴に針をさし、紙二枚に糸を通します。次に、左となりの綴じ穴から手前に針を通します。綿テープの下に糸をくぐらせて、その左隣の綴じ穴に針を通します。左端まで6カ所の綴じ穴に糸を通していきます。糸の端を10センチほど残して、残りの糸を慎重に左に引きます。2枚の紙の間にすきまがなく、綿テープをくぐらせた糸がたわまない程度まで引きます。乱暴に糸をひっぱると紙がきれたり糸が切れたりするので、気をつけます。

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2束目の折丁を、16ページ目が上にくるように重ねます。平らな板かへらで、二つの折丁の4辺をとんとんとおさえて、ぴったり重なるようにします。上の束の左端の綴じ穴に、手前から針を通し、右となりの綴じ穴から手前に針を通し、右端まで、6カ所の綴じ穴に針を通します。綿テープの下をくぐらせるのを忘れないようにします。

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再度、とんとんと位置合わせをしたら、二つの折丁がぴたっとあうまで、慎重に糸をひいて、綴じはじめの糸と結びます。綿テープのたわみもとります。綿テープを引き抜くと復活させるのが大変だそうです。引き抜かないように気をつけます。

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3番目の折丁を色見返しが上にくるように重ねて、左端まで綴じます。再度、よく位置合わせをして、下の段のとじ目の糸に針を通して、糸を結びます。糸の端は1センチほどで切っておきます。4つ以上の折丁を重ねる場合は、折り返し地点で毎回、下の段のとじ目の糸に針をくぐらせてから、新しい折丁に針を通します。綿テープを台に固定していたマスキングテープをはずします。

5.背に糊を塗って平にします

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本の形をよく整えます。折り目のない側の紙に凸凹があったり、折丁が斜めにずれたりしないように、注意します。折り目の上に厚紙を載せて固定し、製本用の糊を筆で背に塗ります。背をへらでこすって平にします。へこんだところがあれば、さらに糊を塗ります。糊が頁の中に入らないように気をつけます。糸や綿テープがとび出ないように糊でおさえます。これを背固めといいます。

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色見返しの折り目もよくこすって、背中全体が同じ高さになるようにします。背幅がだいぶ細くなりました。

6.花ぎれ、寒冷紗をはります

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 背幅にあわせて花ぎれを二枚きり、糊で、背の上と下に貼ります。花ぎれの出っ張った部分が、1ミリほど背から出るようにします。花ぎれが浮いたりほつれたりしないようにしっかりとめます。寒冷紗を、幅は、背幅+30mm、高さは中身-6mmに切って、寒冷紗の紙側に製本用の糊をつけて、背中に貼ります。

今日の学校での作業はここまででした。つづきは来週です。とはいっても、あとの作業は、以前ご紹介した手順と同じはずです。背紙を貼って乾いたらやすりをかけ、クータを作ってはり、表紙を作って貼り合わせます。詳しくは、以下の記事をご覧ください。

絵本の製本手順(角背ハードカバー製本・クロス装) - ふくろう絵本屋見習い

今回も、色見返しがずれたり、折丁がずれたり、さんざんな出来でした。本文や見返しの紙を切った時に、大きさがあっていなかったんだと思います。先生に、失敗したと思ったら、次の行程まで持ち越さずに、その場で修正しなさいと怒られちゃいました。結局、最後に、ずれたところをカッターで切りました。