色について考える機会になりました。
「ヤマショウビンと松ぼっくりの静物」キャンバス、油絵具/アキーラ/画用液、318 × 410mm
不透明の白と透明の色を重ねて描いた油彩の作品です。用賀アトリエの課題で教わりました。「第2フランドル技法」の応用だそうで、下地と白にアキーラも使っています。白はハッチング(細い線)でちまちまいれるか、スカンブリングで凸凹をつけて塗り、乾いたら上から透明な油絵具を薄く塗るというのを繰り返します。色や凸凹や明るさなど、じっくり考えるよい機会になりました。色を部分に固めすぎても、全体にばらまいても単調になるので、バランスの良い着彩は難しいですね。鳥(ヤマショウビン)の体の丸さと、松ぼっくりの質感が少し表現できてよかったです。最初に描いてしまった下手なハッチングの上から、何度ハッチングをやり直しても、下手なハッチングは消えない、、、ということを学びました。
以下、簡単に手順を説明します。
1.下地を塗ります
アキーラのチタニウムホワイトとレッドオキサイドを混ぜて二度塗りしました。
2.画用液を作ります。
乾性油と揮発性油など4種類の材料をメスシリンダーにいれて、よく混ぜます。用賀アトリエの先生のスペシャル配合だそうです。
3.下絵をキャンバスに写します。
アキーラの黒で輪郭線と稜線を描きます。アキーラは水で薄めて描く絵具ですが、よく乾せば油絵具と併用できます。乾かないうちに両者が混ざると、油をはじいたりするので要注意です。
4.明るい部分に白を入れます。
明るくしたいところに、白をいれます。布や松ぼっくりや鳥の首など、近くて明るい部分は、シルバーホワイトの油絵具と、盛り上げやすくするオレオパストを1:1でよく混ぜて、凸凹を残すようにスカンブリングしました。背景や影の部分は白のアキーラを水で薄めて塗りましたが、後で上から何度も透明の絵具でグレーズしていくので、最初は全体にしっかり白くしておいた方がよいようです。私は、最初に全体を明るくしなかったせいで、グレーズをしてはハッチングするという作業を何度も繰り返すことになりました。特に背景は面積が広かったので、ハッチングを何度もかけるのは大変でした。最初は、背景や影にも油絵具の白を塗ればよかったかなと思います。
白が乾くまで1-2日おきます。
5.最初のグレーズをします。
白が十分に乾いたら、画用液と無臭ペトロールを2:1でよくまぜて、油絵具のブラウンピンクをとかして、豚毛のはけで全体にぬります。乾いたら、上から白を塗っていきます。最初とまったく同じ場所を白くするのではなく、より白いところだけ白を入れると、徐々に明暗の差が大きくなっていきます。布や松ぼっくりの明るい部分に白でスカンブリングをして、薄く全体に白くしたいところは、アキーラか油絵具の白を薄めて、面相筆でハッチングをかけます。
6.二度目のグレーズをします。
白がかわいたところで、ウルトラマリンでグレーズしました。明るくしたいところにスカンブリングかハッチングをかけました。机の上の影が暗すぎるので、ハッチングを懸命にかけました。
7.三度目のグレーズをします。
ビリジャンでグレーズしました。前回、油絵具がかわかないうちにアキーラを塗ってしまったせいか、グレーズがなかなかのらず苦労しました。机の上の影部分が、ハッチングでは十分明るくならないので、今更ですが、油絵具の白で塗りました。背景に懸命にハッチングをいれました。ハッチングがうまくいかず、汚い線がたくさん残ってしまいました。
8.四度目のグレーズをします。
セルリアンブルーでグレースしてみました。机の上の影が、少し明るくなってバランスがよくなってきました。さらに、明るくしたい部分にハッチングをかけました。
9.部分グレーズをかけます。
鳥の羽の紫や、松ぼっくりや木や布やオレンジなど、それぞれの固有色でグレーズします。透明色をのせると暗くなるので、また白でスカンブリングをしたりハッチングをかけたりして、さらにグレーズをつづけます。背景全体に何度もハッチングをかけたので、徐々にハッチングがうまくなってきましたが、最初の頃にいれた汚いハッチングは消えません。。。
10.全体グレーズをかけます。
部分グレーズをつづけたせいか、色が偏在して画面がバラバラな印象になってしまいました。このあと、全体グレーズを3回ほどかけて、ハッチングしました。