ふくろう絵本屋

福井美佳です。私の作品を紹介します。

紙版画「雪の家」

今年は紙版画でクリスマスカードを作りました。

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「雪の家」NTラシャ、紙版画(ホワイトワトソン)/消しゴムハンコ/水彩絵具 148×100mm

紙版画は武蔵野美術学園の時の先生に教えていただきました。木版は木を掘って、消しゴムハンコは消しゴムを削って版を作りますが、紙版画は厚紙を切り分けて版として使います。素朴な雰囲気が魅力です。細かく版を分ければ緻密な表現も可能らしいのですが、位置合わせと明暗調整が難しいので、私は素朴狙いでいきます。家の赤い部分のみ、消しゴムハンコです。こちらは青いNTラシャに刷りました。

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こちらは、黒いNTラシャに刷ったものです。刷る紙の色や凹凸で、雰囲気が変わります。文字がつぶれて読みにくくなっちゃいました。

以下、簡単に紙版画の工程を説明します。

1.厚紙に下絵を描き、切り分けて版を作ります

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厚手のハガキサイズのホワイトワトソン紙を使って、紙版を作ります。原画を描いて、文字の部分のみ、カッターナイフで切り抜いたところです。

2.紙版パーツごとに裏に絵具を塗って、刷ります

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厚紙を全部切り抜いて紙版パーツを作ります。家は消しゴムハンコで作りました。写真は、紙版パーツを裏から見たところです。紙版画部分が15版(雪の部分(1)+空(1)+木(13))と消しゴムハンコ1版、全部で16版です。薄くて面積の広いパーツから裏に絵具を塗って、刷ります。

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まず、雪部分の紙版パーツを切り抜き、裏に水彩絵具を塗って、黒いNTラシャに載せて、上から擦って写しました。

今回は、不透明水彩絵具と透明水彩絵具を併用しました。紙版パーツの裏に絵具をつける際は、筆で塗ったり、紙パレットに絵具を拡げてインクパッド代わりに使いました。絵具の水加減、紙版や刷る紙の材質や表面の凹凸によって、仕上がりが変わります。この写真は、絵具が濃すぎてべったりついてしまった部分と、水を混ぜすぎてうまくのらなかったところがムラになってしまいました。

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こちらは、紺のNTラシャに、雪部分と空部分を刷ったところです。これぐらいの絵具の濃さがいいですね。

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木の部分の三角形の小さい紙版パーツを切り抜いて、薄い色から順に刷っていき、最後に家の壁を消しゴムハンコで押して完成です。まず、雪と空だけの2版で40枚ほど刷って、よく刷れたもの10枚を選んで、木の部分と家を刷りました。小さい紙版パーツで刷る時は、ピンセットを使うとよいと思います。

紙を切るので、紙版画の方が消しゴムハンコより版作りが楽でした。厚手の水彩紙は丈夫なので、何度も刷るときにおすすめです。一方、紙版画の方が、絵具の水加減は難しいと感じました。紙で細かいパーツを作って刷っても、うまく絵具が載らないと境界がくっきりしません。今回、一部の木の紙版パーツにカッターでギザギザをつけたのですが、刷り上がりをよく見ないと凹凸がわかりません。隣り合う場所の境界がわかるように、明暗差をつけるのが重要だと改めて思いました。消しゴムハンコの方が絵具が載りやすく、境界がぱきっとします。文字の部分が狭すぎると埋まっちゃうのは消しゴムも紙も同じですね。