ふくろう絵本屋

福井美佳です。私の活動を紹介します。

絵本の製本手順(角背ハードカバー製本・クロス装)

絵本の製本の過程を簡単に紹介します。学校で習った「角背ハードカバー製本・クロス装」という方法で作りました。ただし、本文は糸綴じではなく、糊で貼り合わせました。「合紙」というのでしょうか。ページのまん中に糸が見えたり、印刷がずれたりしないので、自宅で絵本を作るのに向いている方法じゃないかと思います。

1.本文の折丁を作って貼り合わせます

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本文の、見開き15枚(B4)をA3セミ光沢用紙の片面に印刷し、中表に二つ折にします。折丁をそろえて、折り目を水で濡らし、板ではさんで重しをのせてプレスします。位置をあわせて、隣り合った裏同士の紙をすべて糊で貼り合わせて、もう一度プレスします。背に糊を塗り、ヘラでたいらにします。奥付と扉の絵は、背幅の6mmを開けて、A3の紙の左右に印刷します。奥付と扉の紙を外表にして、本文を挟むように外側に貼りつけて、プレスします。上記の写真は、貼り合わせた本文を、扉側からみた状態です。市販のスティック糊(しわになりにくいもの)を使いました。

2.本文をB5の大きさにカットします

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本文をまとめて、カッターでB5の大きさに切ります。この行程が、一番時間と技術が必要です、、、。私はまっすぐ切れないので、裁断機を買った方がいいかなと思ってます。(ちなみに、これは私の手ではありません。)

3.本文に見返しを貼り、背の処理をします

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写真の左から、クータ(筒状の紙)、背紙、寒冷紗、花ぎれ(小さな紫の布)、本文の折丁(B5に切ったもの)です。

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B4の色見返し(今回は灰色)2枚を、それぞれ中表に折って、折り目側に7-8mmの幅で製本用の糊をつけます。(ここから先の行程は、すべて製本用の糊をつかいました)

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本文の最初と最後の折丁の外側に、色見返しを貼ります。本文の背の上下に、背幅に切った花切れを1mmほど飛び出すように貼ります。さらに、本文の高さより6mm短い寒冷紗を、本文の背をくるむように貼りつけ、本文と同じ高さの背紙を貼り、クータ(筒状の紙)を作って貼ります。

4.表紙を作ります

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表紙用のクロスを用意します。私は、学校のプリンタで布に印刷して四隅をカットしました。

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表紙クロスの裏側に、板紙を貼ります。表紙と裏表紙の板紙は2mm厚(高さは本文+5mm、幅は本文-6mm)、背は1mm厚(高さは本文+5mm、幅は本文の厚み+4mm)の黄ボールです。黄ボールは世界堂で買ったり、ネットで注文しました。周囲の折り返し幅は15mm、背と表紙や裏表紙との間の溝は7〜8mmです。

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表紙の長い辺から糊をつけ、折り返して貼りつけます。下に敷いた紙ごと折り返して、紙の上からへらでしっかり圧着させます。角はきちんと折り込みます。乱暴にすると布が傷つくので要注意です。

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次に短い辺を折り返して貼付けます。写真にはありませんが、黄ボールむき出しの部分に、それぞれ、同じ大きさの段差埋めのための紙を貼ります。表紙クロスと同じぐらいの厚みのある紙がよいです。(下の写真の白い部分が、段差埋めの紙です)

5.表紙と本文を貼り合わせます

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表紙の内側の背と溝部分と、本文の背のクータに糊をつけて、位置をあわせて固定します。天地のすきまが同じぐらいになるよう、本文が表紙から飛び出ないよう、注意します。表紙と裏表紙側の見返しに、それぞれ糊を塗り、表紙/裏表紙と本文を貼り合わせます。表と裏それぞれの見返しの折った間に、湿気取りの紙を挟みます。乾かないうちに本を大きく開くと、見返しを貼った部分にしわがよるので要注意です。

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溝の部分に細い棒をはさんで、全体をプレスします。

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一晩おいたら、裏表紙の見返しにDVDを入れた袋を貼り付けて、できあがりです。仕上がりは、以下のページをご覧ください。

はじめて作った絵本「おとちゃんのおとさがし」 - ふくろう絵本屋見習い