ふくろう絵本屋

福井美佳です。私の活動を紹介します。

不透明水彩「もっきん もんきち〜たたいてみたらぽんぽこぽん」

不透明水彩絵具に挑戦してみました。

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「もっきん もんきち〜たたいてみたらぽんぽこぽん」アルシュ、コピックマルチライナー/不透明水彩絵具、410 × 310mm

もんきちくん絵本の原画として描きました。古い木琴を修理して、試しに音を出したところです。この絵は、同じ構図で画材を変えて、何度か挑戦しています。今回は、不透明水彩絵具を使ってみました。透明水彩絵具の柔らかさに、読み手に迫ってくる力強さや存在感を加えたいと思っているのですが、いかがでしょうか。不透明水彩は、上から描き直すことができるのがいいですね。道や木の表現など、まだまだ手を加えたいと思います。

この絵は、OPA gallery主催のグループ展「物語りがうまれる一枚の絵vol.14」に展示しています。ご来場下さった皆様、ありがとうございます。明日9/1(日)15-19時、9/2(月)15-19時、9/4(水)11-14時に在廊します。ご来場いただければ幸いです。

 

OPA galleryで9月4日まで展示します

9月4日まで、表参道のOPA galleryさん主催の絵本作家のグループ展に出展します。

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「物語りがうまれる一枚の絵vol.14

 出版絵本の仕事に繋げることを目的とした展覧会です。
 10人の絵本作家が、絵本のラフ本とその原画を数点ずつ展示します。

2019年8月30日(金)〜9月4日(水) 11時〜19時 *最終日は17時まで

OPA gallery 〒150-0001東京都渋谷区神宮前4-1-23.1F  03-5785-2646

      表参道駅徒歩5分 地図はこちら

出展者:青柳もとひろ いわさき智沙 おがわようこ  奥田あきこ

    坂口友佳子  柴崎早智子  千秋まみこ   田辺ユミコ

    松屋真由子  福井美佳

 

なんとか無事に、初日を迎えました。やわらかなテイストの絵本が揃っています。絵本のプロトタイプにご興味のある方にご来場いただければ嬉しく存じます。

私は、「もっきんもんきち」の原画2点とラフ本を展示しています。2年前の個展でちらっとお披露目した絵本と主人公は同じですが、ストーリーと絵柄を変えました。私の在廊予定日は以下です。お立ち寄りの際は、お気軽に声をかけていただければ幸いです。

福井在廊日:9/1(日)15-19時、9/2(月)15-19時、9/4(水)11-14時

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封筒「かえるの合唱」

アマガエルってすっごく小さいですよね。

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「かえるの合唱」 MD封筒コットン、コピックマルチライナー/色鉛筆 88×178mm

封筒に色鉛筆で描いてみました。輪唱で有名なカエルの曲をヒントに描きました。もとはドイツの曲のようです。日本でクワっとかケケケとか鳴きそうなのはアマガエルかなと思って描いてみましたが、小さなアマガエルと人間を一緒の画面に入れるのは難しかったです。アジサイが大きすぎて、アジサイに見えないかもですね。

封筒「背くらべ」

縁側は気持ちよいですね。

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「背くらべ」 MD封筒コットン、コピックマルチライナー/色鉛筆 88×178mm

封筒に色鉛筆で描いてみました。おとなしくポーズをとっていられるなんて、よいわんこですね。童謡「背くらべ」を題材にさせていただこうとしたのですが、柱と山を画面の中に同居させるのに苦労しました。柱が途中で切れてて変ですね。ちまきや富士山も描きたかった。歌詞には、遠近、過去未来、いろいろな要素が入っているので、どこを活かして絵にするか考えるのが楽しいです。この絵も、もっと大きく描いてみたいですね。

封筒「朧月夜」

春につい口ずさんでしまう歌です。

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「朧月夜」 MD封筒コットン、コピックマルチライナー/色鉛筆 88×178mm

封筒に色鉛筆で描いてみました。封筒の貼り合わせの部分の色がまだらになったのをカバーしようとして、空を暗く塗りすぎちゃいました。結局隠せなかったし、もうちょっと夕暮れ時の空の色の方がよかったような気がします。色鉛筆のグラデーションは難しいですね。この絵も、水彩かパステルで描き直したいと思ってます。

たそがれ時に外を歩くと、開放感を感じつつも、少し不安な気分にもなります。そんな絵がいつか描けるといいなと思います。

 

 

パステル「モルディブ 1」

至福の時間です。

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モルディブ 1」 キャンソン・ミ・タント、鉛筆/パステル、158 x 227mm

朝ご飯食べて、島を一周散歩して、シュノーケルして、昼ご飯食べて、足下の魚とむこうの島をみながら、ビールを飲んでいる感じでしょうか。風が気持ち良さそうです。このあと昼寝するのもいいですね。夕日が沈む頃、もう一度、散歩に行きましょう。この絵も、パースを引くのに苦労しました。パステルで、明暗やキワをきちんと描くのは難しいですね。先生方にも見ていただいて、いろいろ教えていただきました。海と空の色もうまく出ていません。もう少し手をいれたいと思っています。

ところで、色鉛筆のセットは、機内持ち込み手荷物のX線検査でひっかかるようです。危険物っぽく見えるのかな。折れるのが心配だけど、預ける荷物にいれた方がよいかもしれません。

卵黄テンペラ「マニフィカトの聖母(ボッティチェリ作:模写)」

ボッティチェリさんの素晴らしさを痛感しました。

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「マニフィカトの聖母(ボッティチェリ作:模写)」 シナベニヤ/膠/寒冷紗/硫酸カルシウム(ボローニャ石膏)、卵黄/食酢/顔料、158×227mm

かなり雑になってしまいました。オリジナルは、こちらMadonna of the Magnificat - Wikipediaです。1481年の作だそうです。オリジナルは色もきれいだし、聖母の表情がすばらしいなと思って、模写することにしました。油絵具が作られる前の西洋画では、この絵のように、粉の顔料を画面に固着するために卵を使ったテンペラ画と、しっくいの壁が生乾きの間に水などで溶いた顔料で描くフレスコ画が主流であったと言われています。テンペラだと、べたっと塗ると下の色が見えないため透明感が出ず、ぼかしもできないため、ハッチングと呼ばれる細い線を下の色が透けて見えるように何度も重ねていくことによって、透明感や微妙な色の変化を表現するそうです。私が模写したのは、ほんの一部ですが、何色を重ねればオリジナルの色や明暗になるのか考えながらハッチングするのは難しかったです。ボッティチェリさんの有名な「春(ラ・プリマヴェーラ)」とか、そんな細かい努力を大画面いっぱいに施していたとは思っていませんでした。今度ウフィッツィ美術館に行ったら、もっと近くでちゃんと見てきたいなと思います。

この模写は、他の方の模写と一緒に世田谷美術館用賀アトリエ展で展示しております。お恥ずかしい出来ですが、よろしければ、近くでご覧になって、ボッティチェリさん達の努力に想像を馳せていただければと思います。私は明日3/23(土)夕方は会場にいる予定です。

先生に教わった、卵黄テンペラの手順をメモしておきます。写真がなくてわかりにくいところもあるかと思いますが、ご容赦ください。支持体の準備だけでも時間がかかりましたが、お料理みたいでおもしろい作業もありました。

卵黄テンペラの手順

A.石膏地の支持体を作る

1.シナベニヤにやすりをかける

絵のサイズの12mm厚のシナベニヤの、裏表側面すべてにやすりをかける。はけで全体に水を塗る。水をはじく部分があれば、もう一度やすりをかける。はじかなければよい。台上に木片などをいくつか置いて、少し浮かせた状態でシナベニヤを置き、乾くまでおく。

2.膠水を全面に塗る

前日から10倍程度の水でふやかしておいたウサギ膠を、60℃以下の温度であたためて煮溶かす。60℃以上になると接着力がなくなるので注意。

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融けた膠水をボウルにあけて、刷毛にたっぷりつける。刷毛の余分な水分をボウルの縁でこそげとって、シナベニヤの裏面を上にして、膠水を塗る。刷毛は往復させず、一方向にのみ動かして、隙間なくきれいに塗る。画鋲を針を上にして4個おき、画鋲の針の上に、表面を上にしてシナベニヤを置き、表面を塗る。さらに、シナベニヤをたてにして側面をぬる。表面を上にして、画鋲の針の上にシナベニヤを置き、乾くまでおく。

3.寒冷紗を貼る

寒冷紗を、シナベニヤより一回り大きく切る(縦横10cm以上) 。

膠水を準備する。画鋲を針を上にして4個おき、その上にシナベニヤを裏を上にしておく。膠水をはけにつけ、シナベニヤの裏、表、側面に塗る。塗りすぎない。シナベニヤの表面を上にして、寒冷紗をシナベニヤのまん中にくるようにかぶせる。

豚毛の硬い刷毛に膠水をつけ、寒冷紗の上の中央からとんとんたたきながらつける。中央から左斜め上、中央から右斜め下、右斜め上、左斜め下、右、上、左、下と放射線状に、刷毛で空気を抜くように押しながら膠水をつける。

寒冷紗の四隅を、角から1.2cm余白を残して斜めに切り落とす。

シナベニヤを寒冷紗ごとひっくり返して、裏面を上にする。

長い1辺の寒冷紗をまっすぐ上にひっぱりあげながら、外側から側面にちょんちょんと膠水を塗る。あまり強い力でひっぱらない。裏面に寒冷紗を折り返し、ちょんちょんと膠水をつけて、寒冷紗を裏面に貼付ける。刷毛は、シナベニヤの側面から寒冷紗の縁にむかって直角に動かす。

対辺も同じように寒冷紗を裏面に折り込んで貼付ける。

短い辺を折り込むときは、余った部分を内側に折り込んで、角をきれいにつける。角の重なっているところが浮かないように、しっかりつける。

乾くまで置く。

4.石膏を混ぜる

膠水(200cc)を溶かす。ボローニャ石膏(500cc)をふるいにかける。

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50℃にあたためた膠水200ccをビーカーにいれ、中央に石膏を少しずつスプーンでいれる。混ぜると泡がたつので混ぜない。

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石膏がすべて膠水の中に沈むまで待つ。

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木の棒をビーカーの中央に底まで入れ、棒を底から離さないようにしながら、小さく回転させる。気泡を作らないように注意する。

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回転を徐々に大きくしながら、全体が白くなるまで混ぜる。

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5.石膏を塗る

刷毛に溶かした石膏をつけて、寒冷紗を貼ったシナベニヤの裏面から塗る。右端から力を入れて斜め左下方向に端まで刷り込むように塗り、

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左端まで塗ったら、

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左端から右斜め下へ塗る。

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左右に八の字を描くようにして、裏面全体に塗る。

次に側面を塗る。

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裏面を上にして乾くまでおく。

表面を上にして、裏面と同じように八の字を描くように全体に塗って乾かす。

乾いたら表面に再度、石膏を塗る。表面は、12層〜20層重ねる。

6.石膏地の表面を滑らかに削る

削り鋼パネルを砥石の上に垂直にたてて、歯と垂直方向にひっぱる。

石膏を塗ったシナベニヤの側面のでっぱりを、金やすりを断面に水平にあてて削り、側面をまっすぐにする。

表面の凸凹をわかりやすくするために、木炭を粉末にして、全体に薄く黒くなるように、シナベニヤの表面に刷り込む。

シナベニヤを表面を上に縦長になるように机に固定し、削り鋼パネルをむこうから手前にひきながら、表面を少しずつ削って滑らかにする。削り鋼パネルは、表面に対して最初は寝かしてあてて、手前に引きながら徐々に歯をたてて垂直にする。まっすぐひくとまん中ばかりへこんでしまうので、まず、左斜め上から時計回りに扇形にけずり、次に、右斜め上から半時計回りに扇形に削るというように、交互に丸く削る。木炭で黒くなった部分が見えなくなって、全体に白くなるまでけずる。

紙ヤスリNo.400とNo.600を使って、つるつるになるまで平滑にする。

B.墨入れをする

7.転写紙を作る

シナベニヤのサイズより少し大きいトレーシングペーパーを用意し、B3〜B8の鉛筆で黒くなるまで塗る。

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8.下絵を写す

石膏地を塗ったシナベニヤの表面に、転写紙の鉛筆のついた方を下にして重ねる。その上に、下絵をおいて固定する。赤ボールペンなどで下絵の輪郭線と稜線をなぞって石膏地に写す。この作業はとにかく丁寧に。雑に写すとあとが大変になる。今回、下絵は明暗がわかりやすいように白黒コピーした。

8.墨で輪郭と明暗を描く

薄墨を作って、転写した鉛筆の輪郭線を参考にしながら、石膏地に輪郭線を描く。面相筆などの細い筆を使う。自信がない人は、一度に長い線を描かない方がよい。

絵の暗い部分を薄墨でハッチングする。より暗いところは、ハッチングの線を角度を変えて何度も重ねる。

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C.着彩する

10.卵黄メディウムを作る

清潔なかわいたガラス瓶、ティッシュ、爪楊枝、濡れタオルを用意する。新鮮な卵の殻を割って、卵白を取り除く。卵黄を濡らした手のひらにのせ、ころがしながら、左手右手と交互に移動させて、表面のぬめりをとる。移動させるごとに、卵黄を持っていない手を濡れタオルでふく。

卵黄をティッシュペーパーにのせて、巾着状にティッシュペーパーをつまんでもちあげる。巾着の下からティッシュペーパーと卵黄の皮を爪楊枝でプチッとさして穴をあける。穴から出てくる卵黄の中身のみを瓶の中におさめる。力を入れてしぼると皮まで落ちてくるので、力はあまりいれず、できるだけ卵黄の重みで、中身のみが自然に落ちてくるようにする。

スプーン一杯ほどの食酢を卵黄に加えたあと、ふたをして、泡立てないように瓶を軽く左右にふって、卵黄と酢が混ざって均一の状態になるようにする。作った卵黄メディウムは冷蔵庫で保管する。

11.顔料を混ぜて絵具を作る

下地用のテールベルト(暗い緑)の粉末顔料(ピグメント)を耳かきに一杯ほど小皿にとる。まずはテールベルト同量の水を加え、小さじなどでよく練る。水練りした顔料に、同量の卵黄メディウムを加え、よく練る。乾くと描けなくなるので、ラップなどをかけておく。描画する際は、さらに水を加えて、描きやすいように調整する。

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12.下地の色をのせる

テールベルトで作った絵具を平筆につけて、全体に下地の色を塗る。(以下の写真は色がまだらすぎました。もっと一様に塗った方があとが楽です。)

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13.ハッチングをかける

赤系、青系、緑系、黄色系、白など、いろいろな色の顔料を使って絵具を作り、ハッチングをかけていく。絵具は乾燥すると描きにくくなるので、ラップなどをかけておく。ハッチングする時は、筆に絵具をとったら必ず別の紙などに試し書きをして絵具がつきすぎないようにする、細く短くていねいに線を描く、下の色が見えるように隙間をあけながら平行に線を描く、顔や服の凹凸に沿うように線を描く、線を重ねるときは角度を変える、など気をつける。時々、離れたところに下絵と並べておき、全体の明暗が下絵と同じようになっているか確認しながら描く。

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上は、1日ほどハッチングをかけた途中の状態。このあと6日ぐらいかけて描いたものが、冒頭の絵。カビが生えたり虫がついたりするので、密閉して冷暗所で保管する。

14.画面保護用ワニスをぬる

絵を完成したあと、3ヶ月〜半年おいたのち、画面保護用ワニスを塗る。

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今回は、ホルベインテンペラワニスを薄めずに使う。

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テンペラワニスを絵具皿にとって、刷毛によく含ませたあと、余分なワニスを皿の縁でこそげとる。

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上から横に、一列ずつ塗る。ひと刷毛塗ったら、ワニスがたまったり、かすれたところがないか確認し、刷毛にワニスをつけなおして、すきまをあけずにすぐ下を塗る。

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全部塗りおわったところ。光沢があり、乾くと薄く硬質な膜でおおわれる。

以上です。

時間かかりました!雑なところも目立ちますが、本当に勉強になりました〜。不透明な画材を下が透けるようにハッチングで重ねながら、明暗をあわせて立体感を出すのですが、首とかうまくいきませんでいた。それぞれの画材を生み出した人たちの発想や試行錯誤もすごいし、画材の特性を生かした画法を考えて、伝えて、磨いていった人たちもすごいです。技術の進歩は、多くの人の努力の積み重ねによるものなんですね。

木炭デッサン「牛骨のある静物 2018」

つ、ついに禁断のデッサンを載せてしまいました、、。

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「牛骨のある静物 2018」 木炭紙、木炭、650 x 500mm

昨年の春から夏まで描いていたデッサンです。ゴムの木の葉が成長して、わしゃわしゃした感じになっていくのが面白いと思って描いておりました。私は楕円を描くのが苦手で、椅子や枕木のパースも難しく、牛骨の形もうまくいきませんでした、、。デッサンを公開するのは、よほど自信がないとダメだとは思うのですが、用賀アトリエ展に出展した勢いで、ブログにも載せてしまいました。習作ということでご勘弁いただければと思います。

今日は、お天気もよく、たくさんの方が世田谷美術館に来場してくださいました。ありがとうございます。本来、デッサンの基本をじっくり教えてくれる教室なので、ちゃんとしたデッサンもたくさん展示されております。お近くにお寄りの際は、ぜひお立ち寄り下さいませ。

ところで、デッサンをしていると不思議な感じを覚えることがあります。片目をつぶって対象と絵を見比べながら描くことが多いのですが、明暗をつけているうちに絵が立体的に奥行きを持って見えてくるのです。「単眼立体視」というやつでしょうか。パースを意識しているせいかもしれませんが、木炭デッサンの紙が大きくて、視野の大部分をカバーしているせいもあるかと思います。空間の中に直接触れているような感覚で絵を描くのは、とても面白い体験です。他人の絵でも、大きな絵の前にたつと同じような気持ちになることがあります。うまく説明できないのですが、みなさんもこんな感覚を持ちながら絵を描いていらっしゃるのでしょうか。

 

水彩画「バラのある静物」

用賀アトリエ展で展示しています、、、。

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「バラのある静物」 ホワイトワトソン、鉛筆/水彩絵具、500 × 606mm

バラを描いたのははじめてでしたが、描いてみたら、結構楽しいものだということを発見しました。どんどん形が変わっちゃうので大変ですが、また花を描きたいなと思っています。この絵は、手前をしっかりと描き、奥の方は彩度を低くしてあまり描き込まないように気をつけて描きました。青い瓶と花瓶の形がうまくいかず、最後まで苦闘しました。また、ホワイトワトソンの表面はあまり強くないらしく、描いたり消したりしていたら、リンゴのあたりがぼろぼろになって、思うように絵具を載せられなくなってしまいました。そして、お気づきの方もあろうかと思いますが、この絵の最大の問題は、水張りに失敗して、画面の左下隅と右上隅にシワがよってしまったことです。筆で描いたシワではなく、本当のシワが、、、!水張りをはじめて5年もたつのに、あいかわらず同じ失敗をしております。先生、ごめんなさい。

この絵も含めて、世田谷美術館 区民ギャラリーAで日曜日の16:30まで展示しております。同じ静物を他の人も展示していますが、それぞれにその人らしさが出ておもしろいなと思います。今日もお天気がよくて、たくさんのお客様にご来場いただきました。ありがとうございます。お近くにいらっしゃった方は、お立ち寄りいただければ幸いです。

 

世田谷美術館 区民ギャラリーAで3月24日まで展示します

本日から3月24日(日)まで、世田谷美術館 区民ギャラリーAに展示させていただきます。

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用賀アトリエ展

2019年3月19日(火)-24日(日)10-18時(初日14時より、最終日16時半まで)

世田谷美術館 区民ギャラリーA   〒157-0075 世田谷区砧公園1-2

東急田園都市線「用賀」駅より徒歩17分、もしくは美術館行バス「美術館」下車徒歩3分。
小田急線「成城学園前」駅より、渋谷駅行バス「砧町」下車 徒歩10分。
小田急線「千歳船橋」駅より、田園調布駅行バス「美術館入口」下車 徒歩5分。
東横線「田園調布」駅より、千歳船橋行バス「美術館入口」下車 徒歩5分。

福井在廊日:3月20日(水)12:40-18:00、23日(土)夕方

絵画教室用賀アトリエの受講生の展覧会です。50人以上の受講生と、講師や副手のみなさんの作品が展示されています。(区民ギャラリーAは、世田谷美術館の正面入り口から入って、つきあたりを右にいってすぐの部屋です。その奥の区民ギャラリーBは別の団体の展示ですのでご注意ください)

私は4点展示しております。以下の写真右端の牛骨の木炭デッサン1点と、

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以下の写真左端の「バラのある静物」と、その下のペンチの風景画「砧公園1」(両方とも水彩)と、

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以下の卵黄テンペラの模写のうちの「マニフィカトの聖母(ボッティチェリ作:模写)」です。

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2年前に武蔵野美術学園を修了してから、用賀アトリエに月2回通って木炭デッサンを習っていたのですが、昨年5月から週2日コースにも参加しています。水彩やパステル、アクリル絵具なども使い、デッサン、古典技法、構成、色彩から美術史まで、特に、作品を作る進め方に重点をおいて指導してもらっています。私は、これまで描いた絵とは少し違う感じで描けたかなと思う4点を展示しました。まだまだ道は遠いようですが、あきらめずに挑戦したいと思っております。

以下は、週2日コースのみなさんの作品です。一年間さまざまな課題に沿って描いてきた作品の中から、各自、数点ずつ選んで展示しました。

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以下は、卵黄テンペラによる模写です。

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以下は、テンペラと油絵の具の混合技法実習の作品です。

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以下は、週1回、もしくは月2回のレギュラーコースのみなさんの作品です。鉛筆、木炭、油彩、水彩、パステル、色鉛筆などを用いた静物や人物デッサンなどが並びます。レギュラーコースでは、1回2.5時間ほどのデッサンを、同じモチーフで6回以上続けてじっくり描いています。

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以下、先生がたの作品です。

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生徒のみなさんは、ひたすらまじめにデッサンに取り組んでいます。合い言葉は「構図、形、明暗、そして稜線」でしょうか?ストイックに絵画に向き合いたい方には、ご興味をもっていただける内容かと思います。世田谷美術館のある砧公園は、春の花もいっせいに咲いて、お散歩にもおすすめです。お近くにお越しの際には、美術館にもぜひお立ち寄りいただければと思います。